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danyromero’s diary

小説のレビューおよび、時々お酒のウンチクもアップしています。

容疑者Xの献身 (文春文庫)

思い込みによる盲点をついた石神のトリックに心底、唸らされました。事前に「幾何の問題に見せかけて、じつは関数の問題である」と語っており、ヒントが開示されていますが、想像外、見事な落し込みというしかありません。

靖子と深い関りもない石神がそこまでして、身代りになる事なんてあり得るのか?

私はありだと思います。「人は時に健気に生きているだけで誰かを救っていることがある」この言葉に頷けます。

自ら退路を断った石神ですが、靖子は真人間として真実を告白します。石神の心に去来するのは、無念の思いだけなのか?私には解りません。 

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

 

読了日:2016年10月28日 著者:東野圭吾

 

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むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

山奥にひっそり建てられた謎の異国調の家において、一冊の少年の日記が発見されます。

日記に描かれている事柄は、その家に残されていた遺品から二十年以上も前に起きた出来事であったと想像されます。ところが、電気も通っていないその家で、日記に描かれた事柄が到底あったとは思えません。

その矛盾は一体どこからくるのか?そもそも、人気のないこの場所になぜその家が建てられたのか?様々な疑問と謎に包まれていて惹きつけられます。

周到に張り巡らされた伏線を経て、その家の存在理由が明らかとなる驚愕の事実は想像を超えるものでした。 

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

 

読了日:2016年10月23日 著者:東野圭吾

 

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探偵ガリレオ (文春文庫)

加賀恭一郎シリーズを読破し、満を持してガリレオシリーズに突入しました。

シリーズ第一作目である本書では、読む者を唸らせるようなインパクトのある作品はありませんでした。

しかしながら、本書に収録されている5作品は全て科学技術を駆使したトリックであり、科学技術に精通した知識が無ければ成り立たない作品群です。

それを納得できる形のトリックにまとめ上げられているところに作者の力量を感じさせます。

この先には、直木賞受賞作である『容疑者Xの献身』が控えており、一体どのようにグレードアップして、そこへと至るのか興味深いです。 

探偵ガリレオ (文春文庫)

探偵ガリレオ (文春文庫)

 

読了日:2016年10月15日 著者:東野圭吾

 

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祈りの幕が下りる時

本書の主旨とはずれるものの、個人的に目がいったのは、長年、ヴェールに包まれていた加賀の母親の失踪の真相が遂に明らかになったことです。

加賀の父親は言葉足らずな男ではあったものの、DVを働いたり、家庭を全く顧みないような男ではなかった為、母親の失踪の真の理由が何であるのかずっと気になっていました。

鬱病に苛まれ、深夜、包丁を手にしていた母親。失踪は理解できるものでした。

欲をもたず、真面目で己に厳しい心を持った母親のDNAは、一本気で周りに流されない気質を持つ恭一郎へと、脈々と受け継がれていると感じた次第です。

祈りの幕が下りる時

祈りの幕が下りる時

 

読了日:2016年10月2日 著者:東野圭吾

 

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麒麟の翼 (講談社文庫)

加賀恭一郎シリーズである本書ものっけから惹きこまれました。

瀕死の状態でありながら、麒麟像までたどり着き息絶えだいた青柳、その青柳の所持品を持って事故死した容疑者と考えられる八島、被害者・容疑者ともに死人に口なしのため、先の展開が全く読めません。

しかし、期待感を裏切らない本シリーズの面白さを踏まえると、今回も一体どんな落とし込みが待っているのかと惹きづりこまれた次第です。

過去に起きた息子の下級生の事故死と、今回の事件の真相とが徐々にリンクしていく様は、氏ならではの緻密さと落とし込みの巧みさを感じさせます。

麒麟の翼 (講談社文庫)

麒麟の翼 (講談社文庫)

 

読了日:2016年9月19日 著者:東野圭吾

 

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新参者 (講談社文庫)

本書は短編集ですが、どの話も女性が絞殺された事件を根幹とし、そこに関わる人々の人情と事件とが絶妙に絡み合う構成となっています。

最終章において、犯人の動機が息子の金銭問題に端を発したものであろうと推測された時は、何か締まりのない幕引きに感じられました。

しかし、真の幕引きは、その先に待っていました。

唯一人、被疑者の口を割らせるだけの辛い過去を持つ上杉が、被疑者に対し、「たとえ憎まれても、親は子供を正しい方向に導いてやらなければならない」と言った言葉は、被疑者の気持ちを昇華させるに十分値するものだと感じました。 

新参者 (講談社文庫)

新参者 (講談社文庫)

 

読了日:2016年9月8日 著者:東野圭吾

 

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赤い指 (講談社文庫)

幼い子を持つ親や、閉じこもりの子を持つ親、或いは、認知症の家族を抱える者などにとっては、本書は決して他人事として読むことができない作品であると感じました。

本事件において、昭夫を真人間として踏みとどまらせた加賀の行為は温かみに満ちていました。

昭夫が子どものとき、若くて元気だった頃の母に手を繋がれていた写真、お世話になった人への贈り物として母へプレゼントした手彫りの名札、それらをあのような場面で見せつけられたなら、心の防波堤は崩壊するというものです。

本書を読み終えたとき、何かしんみりとした気持ちになりました。 

赤い指 (講談社文庫)

赤い指 (講談社文庫)

 

読了日:2016年9月1日 著者: 東野圭吾

 

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嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

本書は加賀恭一郎シリーズ初の短編集でした。短編集がゆえに要点が絞られており、加賀の敏腕ぶりがより際立っています。本書で最も印象的だった作品は『友の助言』です。

睡眠薬を仕込んだ犯人が誰であるかが開示されるだけに留まらず、犯人特定の一条件として、冒頭で触れていた息子の絵の話しと、被害者の萩原が描いた魚の絵の向きとをリンクさせた点は着眼点として面白く、また、殺人手段が未必の故意に留まっている点は意外性を感じさせます。

最後、萩原が妻に「もう来なくていい」と言った言葉には、男のやるせなさが如実に伝わってきました。 

嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

 

読了日:2016年8月27日 著者:東野圭吾

 

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私が彼を殺した (講談社文庫)

加賀恭一郎シリーズは、毎回、物語のパターンや趣向に工夫が成されており、このシリーズに対する作者の意気込みやチャレンジ精神がよく伝わってきます。

今回は、三人の容疑者による一人称一視点により物語が進行していきます。できる限り隈なく読み進めてみたものの、犯人を特定することはできず、真相に迫るには至りませんでした。

加賀及び容疑者三人が一堂に介し、容疑者達の二重・三重の殺害トリックが明かされるシーンは巧妙さを感じさせます。なお、犯人は神林或いは、まさかの美和子であった方がよりインパクトを与えられたのではと思います。  

私が彼を殺した (講談社文庫)

私が彼を殺した (講談社文庫)

 

読了日:2016年8月21日 著者:東野圭吾

 

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悪意 (講談社文庫)

これまでのシリーズは、誰が犯人であるのかを推察・特定することに主眼がおかれていました。ところが、本書では序盤で早くも犯人が特定されます。

本書の主たるポイントは犯人探しではなく、稀に見る動機探しとなっており、これまでにない趣向が凝らされていました。

犯人の動機とは何か?しかし、死人に口なし状態のため、加賀も、我々読者も翻弄され続けます。そうした中、加賀の記録・独白・回想を読むにつけ、犯人の言動の矛盾や綻びが判明し、真の動機が明らかとなるプロセスは圧巻です。

加賀の刑事としての鋭さと凄味が増し、惹きつけられます。 

悪意 (講談社文庫)

悪意 (講談社文庫)

 

読了日:2016年8月7日 著者:東野圭吾

 

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どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

加賀恭一郎シリーズ3作目における本書では、1・2作目にはなかった臨場感や疾走感、さらに、読む者の心に食い込むような圧迫感があり、かなり惹きこまれました。

六章において、薗子の部屋に、康正、加賀、容疑者(2人)の4人が集結し、それぞれの抗弁や鬩ぎあいが行われると、読むスピードは最高速に達し、先読みしてしまいたくなったほどです。

康正の秀でた推察力によって犯人が誰であるのかの確信が得られていく様と、証拠が隠滅された状況だったにも関らず、加賀の鋭い着眼点によって事件の真相が掴まれていく様は、実に見応えがありました。

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

 

 読了日:2016年7月30日 著者:東野圭吾

 

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眠りの森 (講談社文庫)

「卒業」と比べると惹きつけられた部分もありました。また、今回、加賀に対する見方が変わり、意外にも人間くさく人の好さが垣間見れたところに親近感を覚えました。

なお、本書の事件の真相が開示されるシーンに関して、思わず唸ってしまうような絶妙さだったり、驚きといったものは残念ながら感じられませんでした。

90年代半ば以降の氏の作品と比べると、総じて、臨場感や疾走感に欠け、読者の心に迫ってくるような圧倒感がまだありません。

ただし、本シリーズに対する期待感は高まっており、次回作では満足感が得られるものと期待しています。

眠りの森 (講談社文庫)

眠りの森 (講談社文庫)

 

読了日:2016年7月26日 著者:東野圭吾

 

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卒業 (講談社文庫)

加賀恭一郎シリーズの初読です。

東野氏の作品はこれまで「秘密」や「白夜行」、「幻夜」等の話題作を中心に読んでいたため、デビュー後間もない本作品は、とにかく読み辛く感じました。

しかしながら、様々な人物達の発言や行動が事件の解明に明確に繋がっていく様は、現在の氏が得意とする伏線回収スタイルの源になっていると感じた次第です。

また、一番知りたかった本事件の根本的原因について、「俺自身も気づいていなかった。俺は決して彼女を許してなどいなかったということに。」と表した一文も、氏らしく端的さを感じさせるものでした。 

卒業 (講談社文庫)

卒業 (講談社文庫)

 

読了日:2016年7月11日 著者:東野圭吾

 

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ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)

第1章~第5章の「殺しの・・・」から始まる表題は、その章の要旨を端的に捉えているため、展開を予測しながら読み進めることができます。

また、ほどよい臨場感とスピード感を備えており、読むものを飽きさせません。

さらに、特筆すべきは、本書のクライマックスにおける締め括りかたです。

まさに最高潮を迎えた刹那の幕引きとなります。通常であれば、クライマックスのシーンを踏まえて、その後の状況や経緯が解説され、余韻に浸りながらまとめられて行きますが、この幕引きこそが東野さんならではの拘りであり、美学であると感じる次第です。 

ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)

ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)

 

 読了日:2016年6月29日 著者:東野圭吾

 

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幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))

物語の展開や内容は面白かったのだが、落とし込みへと向かっていく様が前作(白夜行)とよく似ていたため、結末が容易に想像できてしまったのは残念だった。

また、多くの謎を残し過ぎた点に関して、モヤモヤ感が残った。

美冬への成り代わりは震災という偶然の産物だったのか?人を欺き、陥れ、殺める、そして、整形までするほど美冬の過去は壮絶なものだったのか?上昇志向の真の目的・到達点は一体どこにあり、何であるのか?

なお、本シリーズは3部作の話が出ているようだが、結末は、いずれも報われない男と上昇し続ける女という構図になるのか?

幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))

幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))

 

読了日:2016年6月23日 著者:東野圭吾

 

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