danyromero’s diary

小説のレビューおよび、時々お酒のウンチクもアップしています。

アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉

本書は端的にまとめられ、勇気づけや実りのある人生とするためのたくさんの術が示されています。ところが、せっかく得た術なども往々にして実践できず、延々と模索し続けてしまうのが現状だと思います。

結局のところ、実践できるかできないかは、その人の決意力にあるのだと思います。これだと考えたら、絶対にそうするという強い意志をもって実践しきる力が何よりも必要です。

あとは、自分を信頼する力も必要だと感じています。自分の持っている能力を信頼することで、動じない自分が生まれ、意思決定を行っていくことができるのだと思います。 

読了日:2017年1月18日 著者:小倉広 

 

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虚像の道化師 ガリレオ 7

本書における『幻惑す』と『心聴る』は、心霊的な力が働いているかのように見せかける巧妙なトリックが仕組まれ、これまでのガリレオシリーズには無かった新たな仕掛けとなっていました。

また、『偽装う』と『演技る』は、殺人を犯していない第三者が手を加えるという想定外の手法がとられており、これまた、これまでのガリレオシリーズには無い仕掛けであり、興味深い部分でした。

本シリーズは物理学的なトリックを考えるだけでも大変な筈ですが、そこに、新たな仕掛けも加えられていくというプラスアルファもあり、より楽しませてくれます。 

虚像の道化師 ガリレオ 7

虚像の道化師 ガリレオ 7

 

読了日:2017年1月8日 著者:東野圭吾

 

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アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

アドラー3作目となる本書で学んだのは「相手の適切な行動に注目する」ことです。

人間の悩みの大半は『対人関係である』と言われています。他人との関わりを避けることはできず、相手が自分の思惑通りにならないと嫌な部分だけがクローズアップされがちです。

こうなると、互いの関係は悪化し、共同関係は築けません。それよりも、相手の適切な行動に目を向けてみると、意外にも不適切なことよりも、適切に対応してくれていることの方が多いことが発見されます。

前2作で学んだ「普通に接する」こと等と合わせて、実践してみる価値は大いにあります。 

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

 

読了日:2016年12月22日 著者:岸見一郎

 

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ガリレオの苦悩 (文春文庫)

本書において、最も興味深かった作品は『操縦る』でした。

全ては奈美恵の幸せを確保するために、幸正自らが不実を働く息子を殺めて、財産を譲るための障害を取り除きます。同時に介護生活からも解放させ、さらには、罪をより重くするために情状酌量を望まず、刑務所で死することまで決意します。

何とも救われようのない悲しい結末だけが残るところでした。しかし、幸正の真の苦悩を暴き、湯川が語った言葉(自分達を信用しろ。責任は僕たちがとる。)によって報われた思いです。

人の心も科学であり、とてつもなく奥深いという一言に頷けます。 

ガリレオの苦悩 (文春文庫)

ガリレオの苦悩 (文春文庫)

 

読了日:2016年12月17日 著者:東野圭吾

 

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アドラー心理学 実践入門---「生」「老」「病」「死」との向き合い方 (ワニ文庫)

本書は、生・老・病・死という4つの切り口から幸福に生きていくためのヒントを与えてくれますが、最後の一文において、私自身が取り組むべき指針が明確になった気がします。

幸福になりたい、人生をよくしたい、自分を変えたい等の願望を達成する、或いは、現状を打開するためには、"なりたい"のではなく"なる"、"よくしたい"のではなく"よくする"、"変えたい"のではなく"変える"と決意することです。

このように決意することで、人生を先延ばしせず、現在が人生の準備期間ではなく、今こそが本番であると強く実感できるのだと思います。 

読了日:2016年12月8日 著者:東野圭吾

 

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真夏の方程式 (文春文庫)

殺害の一端として利用された事実を知ってしまった恭平少年。それも、身内の人間に利用されてのことです。

恭平少年の心には、生涯、誰にも言えず、癒されることの無い深い傷が刻まれることになると思いました。ところが、湯川の次の一言によって、この救いようのない状況に光明を与えてくれました。

「私は君と一緒に同じ問題を抱え、悩み続けよう。忘れないで欲しい。君はひとりぼっちじゃない」と。

シリーズが進むごとに人間臭さ、人情味が増していく湯川。少年が何れ答えを出す日がくるとき、言葉通り、湯川が最善を尽くす姿が目に浮かんできます。 

真夏の方程式 (文春文庫)

真夏の方程式 (文春文庫)

 

読了日:2016年12月4日 著者:東野圭吾

 

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人生を変える勇気 - 踏み出せない時のアドラー心理学 (中公新書ラクレ)

職場の上司に対する問題を抱えていたことから、職場のイライラを中心に読み進めました。そこには、上司の屈折した承認欲求の記述があります。まさに今の私が直面している問題です。

そんな上司に屈せず立ち向かってきたものの、心の奥底では不安や恐れがあった点は否めず、我慢を強いられてきました。

この問題の解決策は次の通りでした。上司は変えられないため、動じない自分になること、そして、普通に接するという2点です。早速、実践しました。

この2点を意識しただけで、感情が高ぶらず冷静になれ、結果、動じず、上司は気が抜けた様子でした。

読了日:2016年12月1日 著者:岸見一郎

 

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聖女の救済 (文春文庫)

冒頭の綾音の心情描写より、綾音が夫を殺害したのは明白でありながら、その真相が開示されるまでの経緯はなんとなく間延びしていて、盛り上がりやスリリングさを欠いている印象を受けました。

また、草薙の心が揺さぶられるほど綾音に魅せられた理由もよく分かりませんでした。

ただし、殺害のトリックに関しては、よく考えられたものであると感心した次第です。

1年前に浄水器に毒物を仕込み、1年間それを誰にも触らせず、それをやり遂げた執念、そんな事はあり得ないと感じた後に、いやあり得るかもしれないと思わせてしまう落し込みに脱帽です。 

聖女の救済 (文春文庫)

聖女の救済 (文春文庫)

 

読了日:2016年11月10日 著者:東野圭吾

 

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容疑者Xの献身 (文春文庫)

思い込みによる盲点をついた石神のトリックに心底、唸らされました。事前に「幾何の問題に見せかけて、じつは関数の問題である」と語っており、ヒントが開示されていますが、想像外、見事な落し込みというしかありません。

靖子と深い関りもない石神がそこまでして、身代りになる事なんてあり得るのか?

私はありだと思います。「人は時に健気に生きているだけで誰かを救っていることがある」この言葉に頷けます。

自ら退路を断った石神ですが、靖子は真人間として真実を告白します。石神の心に去来するのは、無念の思いだけなのか?私には解りません。 

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

 

読了日:2016年10月28日 著者:東野圭吾

 

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むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

山奥にひっそり建てられた謎の異国調の家において、一冊の少年の日記が発見されます。

日記に描かれている事柄は、その家に残されていた遺品から二十年以上も前に起きた出来事であったと想像されます。ところが、電気も通っていないその家で、日記に描かれた事柄が到底あったとは思えません。

その矛盾は一体どこからくるのか?そもそも、人気のないこの場所になぜその家が建てられたのか?様々な疑問と謎に包まれていて惹きつけられます。

周到に張り巡らされた伏線を経て、その家の存在理由が明らかとなる驚愕の事実は想像を超えるものでした。 

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)

 

読了日:2016年10月23日 著者:東野圭吾

 

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探偵ガリレオ (文春文庫)

加賀恭一郎シリーズを読破し、満を持してガリレオシリーズに突入しました。

シリーズ第一作目である本書では、読む者を唸らせるようなインパクトのある作品はありませんでした。

しかしながら、本書に収録されている5作品は全て科学技術を駆使したトリックであり、科学技術に精通した知識が無ければ成り立たない作品群です。

それを納得できる形のトリックにまとめ上げられているところに作者の力量を感じさせます。

この先には、直木賞受賞作である『容疑者Xの献身』が控えており、一体どのようにグレードアップして、そこへと至るのか興味深いです。 

探偵ガリレオ (文春文庫)

探偵ガリレオ (文春文庫)

 

読了日:2016年10月15日 著者:東野圭吾

 

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祈りの幕が下りる時

本書の主旨とはずれるものの、個人的に目がいったのは、長年、ヴェールに包まれていた加賀の母親の失踪の真相が遂に明らかになったことです。

加賀の父親は言葉足らずな男ではあったものの、DVを働いたり、家庭を全く顧みないような男ではなかった為、母親の失踪の真の理由が何であるのかずっと気になっていました。

鬱病に苛まれ、深夜、包丁を手にしていた母親。失踪は理解できるものでした。

欲をもたず、真面目で己に厳しい心を持った母親のDNAは、一本気で周りに流されない気質を持つ恭一郎へと、脈々と受け継がれていると感じた次第です。

祈りの幕が下りる時

祈りの幕が下りる時

 

読了日:2016年10月2日 著者:東野圭吾

 

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麒麟の翼 (講談社文庫)

加賀恭一郎シリーズである本書ものっけから惹きこまれました。

瀕死の状態でありながら、麒麟像までたどり着き息絶えだいた青柳、その青柳の所持品を持って事故死した容疑者と考えられる八島、被害者・容疑者ともに死人に口なしのため、先の展開が全く読めません。

しかし、期待感を裏切らない本シリーズの面白さを踏まえると、今回も一体どんな落とし込みが待っているのかと惹きづりこまれた次第です。

過去に起きた息子の下級生の事故死と、今回の事件の真相とが徐々にリンクしていく様は、氏ならではの緻密さと落とし込みの巧みさを感じさせます。

麒麟の翼 (講談社文庫)

麒麟の翼 (講談社文庫)

 

読了日:2016年9月19日 著者:東野圭吾

 

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新参者 (講談社文庫)

本書は短編集ですが、どの話も女性が絞殺された事件を根幹とし、そこに関わる人々の人情と事件とが絶妙に絡み合う構成となっています。

最終章において、犯人の動機が息子の金銭問題に端を発したものであろうと推測された時は、何か締まりのない幕引きに感じられました。

しかし、真の幕引きは、その先に待っていました。

唯一人、被疑者の口を割らせるだけの辛い過去を持つ上杉が、被疑者に対し、「たとえ憎まれても、親は子供を正しい方向に導いてやらなければならない」と言った言葉は、被疑者の気持ちを昇華させるに十分値するものだと感じました。 

新参者 (講談社文庫)

新参者 (講談社文庫)

 

読了日:2016年9月8日 著者:東野圭吾

 

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赤い指 (講談社文庫)

幼い子を持つ親や、閉じこもりの子を持つ親、或いは、認知症の家族を抱える者などにとっては、本書は決して他人事として読むことができない作品であると感じました。

本事件において、昭夫を真人間として踏みとどまらせた加賀の行為は温かみに満ちていました。

昭夫が子どものとき、若くて元気だった頃の母に手を繋がれていた写真、お世話になった人への贈り物として母へプレゼントした手彫りの名札、それらをあのような場面で見せつけられたなら、心の防波堤は崩壊するというものです。

本書を読み終えたとき、何かしんみりとした気持ちになりました。 

赤い指 (講談社文庫)

赤い指 (講談社文庫)

 

読了日:2016年9月1日 著者: 東野圭吾

 

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