異動で通勤時間がめっきり減り読了まで3ヶ月、さらに、そこから2ヶ月経っているため、うろ覚えでのレビューとなります。 偶然出くわしたやくざ者と子ども達、そのやくざ者の子ども達に対する接し方、話し掛けに心が温まりました。浅田氏が描かくやくざ者は…
序章の岩手の方言のやりとりでは『壬生義士伝』を思い出し、第一章の鬼熊と片岡と菊池の3人のキャラ設定では『きんぴか』を、そして、第二章の岸上等兵の語り口からは『天切り松闇語り』を思い出されます。 何れの作品とも大好きな私にとってたまらない設定…
下巻に入る前、茜を殺害したのは両親では無いのではと睨んでいました。話のオチとして、最後に大どんでん返しによって真犯人が明らかになり、土井崎一家は報われ、新たな歩みが始まるという筋書きを想像していました。 しかし、全くの読み違いでした。考えて…
1年前『模倣犯』を読んだものの、あまりに救いようがない内容に途中で断念しました。そのとき以来の宮部作品です。 読み始めてみると、なにやら本書も救いようのない雰囲気が感じられ、もやもやを抱えながら読み進めていました。 しかし、滋子が萩谷等のこ…
本書は長年積読となっていましたが読み終えて一言、面白かった!なぜもっと早く読まなかったのだろうかと、いまさらながら後悔しています。 表題を目にしたとき、なんとなくほのぼのした物語なのだろうと先入観を持ってしまい、後回しにしてしまった次第です…
池井戸作品で読み残していた「かばん屋の相続」をやっと読みました。 氏の作品を読むのは、かれこれ3年振りですが、やっぱり良いと思いました。 「10年目のクリスマス」などにおける銀行の腐り具合。いかにも氏の特徴的な表現です。これだよこれ!と懐か…
本書は2009年に出版されたもので、ホリエモンもまだ尖ってた頃だと思われ、ところどころ不躾感があったりします。 しかしながら、当時からホリエモンは合理的であって芯があり、生き様にブレがないことがよく分かります。 「お金は信用でありお金が無くても…
本書は、友人からいただいたもので堂場さん初読でしたが、初読がシリーズ7作目だったため、過去の経緯が分からず、少し戸惑いながら読む形となりました。 総じて、驚くような展開だったり、迫りくるような圧倒感は感じられませんでしたが、描写が丁寧なため…
本書で得心したのは第一講です。「適性と天職」は探すものではない。まず仕事をする。そのうちに自分にどんな適性や潜在能力があるのかが分かってくる。 そして、与えられた条件のもとで最高のパフォーマンスを発揮するように、自分自身の潜在能力を選択的に…
ホリエモンの言うことは、いつでも合理的であり、特別でなく、誰でもできるものです。そして、本書に書いてあることを実践すれば、必ず何かが変わると言っています。 要は、やるか。やらないか。それだけです。 バンジージャンプで例えるなら、ただ飛ぶだけ…
本書では、あれこれよからぬことが頭に浮かんでもかまわず書く、考えずに書く、全部そのまま書くことの重要性が説かれています。 とにかく、躊躇せず1頁1分で書きだすことがゼロ秒思考の肝となります。これを実践することで、瞬時に現状を認識し、課題を整…
ホリエモンが言う"自分のことだけ考える"とは、他人に期待などしない、他人の人生を生きない、自分のやりたいことに集中するなどを意としているものです。 では、私はどうなのかと考えると、他人の目を大いに気にし、こんな風に思われたいなどと考えているこ…
犯人が明らかになった後で、事件の顛末を犀川助教授が語る手法は『冷たい密室と博士たち』と同様でした。 ただし、前作ほどの緊迫感だったり、著者特有の仕掛けの深さや読者への投げ掛けの強さなどは、今回それほど感じることはできませんでした。 しかし、…
緻密で精緻な森さんの作品は、登場人物の一挙手一投足まで意識を集中して読んでいかなければ、犯人を特定するのは困難であると感じました。 クライマックスのシーンを経て、遂に犯人が明きらかになっても、、、まだ、要領を得ない自分がいました…。 最後まで…
ホリエモンは極めて合理的な人だと感じました。保険をかけず、色んな物をばっさり捨てる勇気があるからこそ、合理主義に徹せるのだと思います。 プライドを捨てれない私は、バカにもなれず、物は捨てれない、着ない服も取っておくタイプであり、総じて、判断…
森博嗣作品初読です。読了後まず思ったのは、本書はこれまでに読んだことのない作風であったという点です。 全体的に無機質な印象があり、登場人物に対する感情移入はそれほどありません。しかしながら、先の読めない展開、漫然とした状況が逆に惹きつけられ…
良書と言われる対人関係書の多くは他人に関心を持ち、愛を向けることなどの重要性が説かれています。しかし、これを実践するには困難を極めます。 その点、本書は気軽に取り組める良さがあります。アホの特徴を明確化し、アホに囚われる愚かさを説き、気軽に…
落込みへのプロセスにおいて、強引さを感じる部分はあります。にも関わらず、満足感の方が上回ります。 なぜかと言えば、本書には、思わず唸るような巧緻性があったり、クライマックスが来たと思ったら、その後に真のクライマックスが用意されている等、読者…
今まさに不機嫌の中心世代(45歳以上)に差し掛かろうとしています。私自身、全員に対して不機嫌ではないのです。たった1人。いや、少し広げて2・3人といったところです。 この不機嫌を脱しきれない要因は「ふっきれない」ところにあります。頭から離れず…
本書の見せ場とクライマックスは、ヤミ金組織から大金を痛快に巻き上げる点にあるものとばかり思っていたところ、全くの見当違いでした。 残り数十頁に入ってから、テツさんが一世一代を掛けたアルバトロス作戦の真相が開示されていく様は本当に圧巻であり、…
本書は、慎一と春也と鳴海の3人のこども達の世界を描いた物語です。読みながら、私自身の小学生の頃の友人達(後に親友)と過ごした日々の記憶が呼び覚まされました。 当時、はっきり認識できていなかったものの、いま思えばこの時期に、心の痛みや切なさ、…
十数年ぶりの再読です。今回は息子の嘉一朗が本当に不憫に感じてなりませんでした。 貫一郎が犯した脱藩の罪をおのが罪として生き、その罪を償う事だけを考え続け、義のため戦場へと馳せ参じます。しかし、嘉一朗が今まさに果てんとする瞬間の回想シーンで戦…
過酷すぎる時代に高い志と覚悟を持ち続ける吉村父子の生き様は、生半可な覚悟しか持ち合わせていない私の心に深々と突き刺さります。 大義とは人の道であり、間違いだらけの世の中に向かって、いつもきっかりと正眼に構え、その構えだけが正しいと信じていた…
本書では殺人犯が浩美と和明の複数犯であるということを早々に開示しますが、そんなことはさほど重要ではなく、そこに至るまでのプロセスをそれぞれの人物の心理描写を克明に描きながら興味深く開示していきます。 冒頭で登場した塚田真一は下巻でどんな役割…
宮部みゆきの作品については、これまで『ソロモンの偽証』や『誰か』、『名もなき毒』、『ペテロの葬列』、『火車』等の代表作を中心に読んできました。 何れの作品とも内容が重く、救いようがなかったり、後味が悪かったりと、読後しばらくたっても胸に重く…
喬子の生き様は強烈です。事は父親の借金苦に端を発し、恐怖の取り立てに遭い、夜逃げによる一家離散。その後、両親は誘拐され、その心労が祟って母親は早くに亡くなり、さらに父親は廃人同様となります。 それでも取り立ては終わらず、喬子にこの状況を逃れ…
本物語では様々な人物の苦しみが表現されています。公金を横領した父親の蒸発により心に深い傷を負った守。守の父親をひき殺しながら生涯隠ぺいし続ける決意をした吉武浩一。 とりわけ、この二人の苦悩は計り知れません。菅野洋子の交通事故死というプロセス…
妻子を殺められた織口が殺害者の真の姿を暴き、裁きを下さんと銃口を向けたとき「撃て」「殺れ」と強く念じている私がいました。 状況説明も兼ねた範子の心理描写が迫りくるような臨場感に溢れており、そのため、こうした心境になったわけです。また、今まさ…
アドラーを理解するための根幹は「愛」であり、アドラーの語る愛ほど厳しく勇気を試される課題はありません。 本当の愛を知ったとき、「わたし」だった人生の主語は「わたしたち」に変わると言います。愛とはふたりで成し遂げる課題であり、自己中心性から脱…
本書で興味を惹かれたのは、事件の真相に至る経緯等ではなく、DNAプロファイリングであり、現実社会でどこまで利用可能になっているのかといった部分です。 プロファイリング結果により、身体的特徴が明確に分かるものなのか。容貌に関して再現できるという…