本書では、『心の銃口』が最もインパクトのある作品でした。
冒頭に警察マニアの心情描写が描かれ、ここで、その人物のことが頭にインプットされます。
その後、同僚で拳銃射撃競技の女子の部で優勝の南田安奈が襲われ、拳銃を奪われたことから、当然、犯人は冒頭の警察マニアであると想像します。
しかし、その警察マニアが女であるとは微塵も想像できませんでした。
その先入観を見事に利用し、凄腕の南田安奈が拳銃を発砲することができなかった理由へとリンクさせていく様は、落とし込みに一癖も二癖もある横山さんならではの作品だと感じました。
読了日:2015年1月11日 著者:横山秀夫