本作品の真のクライマックスが毒殺犯の特定ではなく、原田いずみの立て籠もり事件から派生する毒殺犯である青年の説得、心情吐露、被害者の孫である古屋美知香との対峙にあった点は、クライマックスとして大いに盛り上がり、惹き込まれた部分でありました。
本作品は杉村三郎シリーズの『誰か』に続く2作目でしたが、何れも、「毒」がキーワードになっていて共通性がありました。
3作目の『ペテロの葬列』でも、引き続き「毒」がキーワードとなっているのか、それとも、新たな趣、展開が待っているのか、そんな興味も持って読んでみたいと思います。
読了日:2015年5月23日 著者:宮部みゆき