榊原の自殺によって広太の人生は急変し、ヤクザに脅され抗うことさえできずに破滅の道へと進んでいきます。
ところが、異国の地で同じ日本人の雅之と出会い、人の命の軽さを知り、自分の権利は自分で守っていく姿などを目の当たりにすることで、慄いてばかりいた広太の気持ちに筋金が入っていく様は見応えがありました。
最後、砂漠の悪魔に取り憑かれますが、その悪魔と対峙することを決意した広太にとって、もはやヤクザは脅威ではありません。
抜けた髪を束にして佐々に投げつけたシーンは、生きる強さを知った広太の凄味を感じさせるシーンでした。
読了日:2015年9月26日 著者:近藤史恵