さいごの毛布 (単行本)
本書は犬の習性を通じて新たな視点が投げかけられる非常に興味深い作品でした。
『犬は昨日を愛する生き物であり、捨てられても飼い主を忘れない』つくづく考えてみると、まさにその通りだと思います。
麻耶子の息子である辰司は、形の上では母親に見捨てられてしまいます。辰司は麻耶子を殺したいと言いつきまといます。
しかし、彼の一連の行動からは母親を慕う気持ちが見受けられ、自分を思い出して欲しい、自分の痛みに気付いて欲しいという気持ちが読み取れます。
忘れず、追いかけ続けた辰司だからこそ、再び母親との絆が結ばれるのだと思います。
読了日:2015年10月6日 著者:近藤史恵