ダークルーム (角川文庫)
各作品によって、読み易さや惹き込まれ具合に差があるなと思っていたら、1994年~2011年までの間の作品が収録されており、最近に近づくにつれ、読み易さや巧さが感じられました。
印象的だった作品は『北緯六十度の恋』です。
冒頭の「憎しみに囚われるのは愚かなことだ」、「でも、そこから一歩も動けなくなってしまった人はどうすればいいか」の意味深な言葉に興味を惹かれ、弟の無念を晴らすべく、その原因となった相手に魂を売ったかのような方法で、時を経て、復讐を晴らそうとする展開は独特でありながらも、巧みさを感じる作品でした。
読了日:2015年11月9日 著者:近藤史恵