天使はモップを持って (文春文庫)
本書における怪現象の真相は、女性心理の奥深くに潜む、心の捻じれに端を発したものでした。
男の私には、仕事社会において、女性が感じている葛藤や苦労、そして、忍耐を強いられていることを理解できていないことに気づかされました。
そんな女性心理の負の部分にスポットがあてられた作品ですが、頭の回転がよく、気が回り、感情豊かな清掃員のキリコと、ちょっと間の抜けたサラリーマンの大介とのコンビで事件を子気味良く解決していく様は、負の要素を感じるだけに終わらず、然るべく明確な理由を開示しているため、納得感が得られるものでした。
読了日:2015年12月18日 著者:近藤史恵