分身 (集英社文庫)
鞠子の章、双葉の章ともに中身が濃く、それぞれの章を抜き出して2作品にしてみても、作品として十分成り立つと思わせるほど力強さが感じられました。
本書において、2人の母親の死の真相等、興味深い点は幾つもありました。
しかし、何よりも興味を掻き立てられたのは、クローンである2人が出会った時どんな反応が示されるかでした。
2人が出会い会話をしたシーンはたった1頁でした。ほんの僅かな会話です。それでいながら、十分に納得感が得られるものでした。
同じ気持ち、同じ感情を抱く2人だからこそ、改まった言葉は必要なかったのでしょう。
読了日:2016年2月19日 著者:東野圭吾