変身 (講談社文庫)
本書において、作者が伝えたかったのは、先端医療技術に対する警告なのか、或いは、生きるということはどういうことなのかを問うているのか、その意図は、はっきり分かりませんでした。
ただ、私が1つだけ確信したことは、人は仮に脳や心を破壊するような強い圧力が加わろうとも、人の奥底には、そんな力にも決して屈しない、侵されない強い意識の力が備わっているのだということです。
純一が恵を殺めようとした刹那、「かわいそうだ、と俺は思った」と考え、「自分自身を取戻しに行くんだ」と言ったシーンを見るにつけ、そのように感じた次第です。
読了日:2016年2月27日 著者:東野圭吾