天空の蜂 (講談社文庫)
事件発生から収束までの時間が僅か10時間余りだった点を踏まえると、疾走感はそれほど感じられませんでした。しかし、物語自体は非常に読ませる作品であったと感じました。
作者は当時既に原発に対する危機的意識を持っていて、沈黙する群衆に対して敢然と問題点を投げ掛けています。そして、三島が最後に発した「そのことにいずれみんなが気がつく」という言葉は心胆寒からしめるものでした。
まさに、東日本大震災において、現実のものとなっています。
本書を通じて、我々自身が考え、道を選んでいかなければならないことを痛切に感じた次第です。
読了日:2016年5月27日 著者:東野圭吾