ブルータスの心臓―完全犯罪殺人リレー (光文社文庫)
第1章~第5章の「殺しの・・・」から始まる表題は、その章の要旨を端的に捉えているため、展開を予測しながら読み進めることができます。
また、ほどよい臨場感とスピード感を備えており、読むものを飽きさせません。
さらに、特筆すべきは、本書のクライマックスにおける締め括りかたです。
まさに最高潮を迎えた刹那の幕引きとなります。通常であれば、クライマックスのシーンを踏まえて、その後の状況や経緯が解説され、余韻に浸りながらまとめられて行きますが、この幕引きこそが東野さんならではの拘りであり、美学であると感じる次第です。
読了日:2016年6月29日 著者:東野圭吾