どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)
加賀恭一郎シリーズ3作目における本書では、1・2作目にはなかった臨場感や疾走感、さらに、読む者の心に食い込むような圧迫感があり、かなり惹きこまれました。
六章において、薗子の部屋に、康正、加賀、容疑者(2人)の4人が集結し、それぞれの抗弁や鬩ぎあいが行われると、読むスピードは最高速に達し、先読みしてしまいたくなったほどです。
康正の秀でた推察力によって犯人が誰であるのかの確信が得られていく様と、証拠が隠滅された状況だったにも関らず、加賀の鋭い着眼点によって事件の真相が掴まれていく様は、実に見応えがありました。
読了日:2016年7月30日 著者:東野圭吾