悪意 (講談社文庫)
これまでのシリーズは、誰が犯人であるのかを推察・特定することに主眼がおかれていました。ところが、本書では序盤で早くも犯人が特定されます。
本書の主たるポイントは犯人探しではなく、稀に見る動機探しとなっており、これまでにない趣向が凝らされていました。
犯人の動機とは何か?しかし、死人に口なし状態のため、加賀も、我々読者も翻弄され続けます。そうした中、加賀の記録・独白・回想を読むにつけ、犯人の言動の矛盾や綻びが判明し、真の動機が明らかとなるプロセスは圧巻です。
加賀の刑事としての鋭さと凄味が増し、惹きつけられます。
読了日:2016年8月7日 著者:東野圭吾