danyromero’s diary

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嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

本書は加賀恭一郎シリーズ初の短編集でした。短編集がゆえに要点が絞られており、加賀の敏腕ぶりがより際立っています。本書で最も印象的だった作品は『友の助言』です。

睡眠薬を仕込んだ犯人が誰であるかが開示されるだけに留まらず、犯人特定の一条件として、冒頭で触れていた息子の絵の話しと、被害者の萩原が描いた魚の絵の向きとをリンクさせた点は着眼点として面白く、また、殺人手段が未必の故意に留まっている点は意外性を感じさせます。

最後、萩原が妻に「もう来なくていい」と言った言葉には、男のやるせなさが如実に伝わってきました。 

嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

嘘をもうひとつだけ (講談社文庫)

 

読了日:2016年8月27日 著者:東野圭吾

 

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