本書の主旨とはずれるものの、個人的に目がいったのは、長年、ヴェールに包まれていた加賀の母親の失踪の真相が遂に明らかになったことです。
加賀の父親は言葉足らずな男ではあったものの、DVを働いたり、家庭を全く顧みないような男ではなかった為、母親の失踪の真の理由が何であるのかずっと気になっていました。
鬱病に苛まれ、深夜、包丁を手にしていた母親。失踪は理解できるものでした。
欲をもたず、真面目で己に厳しい心を持った母親のDNAは、一本気で周りに流されない気質を持つ恭一郎へと、脈々と受け継がれていると感じた次第です。
読了日:2016年10月2日 著者:東野圭吾