聖女の救済 (文春文庫)
冒頭の綾音の心情描写より、綾音が夫を殺害したのは明白でありながら、その真相が開示されるまでの経緯はなんとなく間延びしていて、盛り上がりやスリリングさを欠いている印象を受けました。
また、草薙の心が揺さぶられるほど綾音に魅せられた理由もよく分かりませんでした。
ただし、殺害のトリックに関しては、よく考えられたものであると感心した次第です。
1年前に浄水器に毒物を仕込み、1年間それを誰にも触らせず、それをやり遂げた執念、そんな事はあり得ないと感じた後に、いやあり得るかもしれないと思わせてしまう落し込みに脱帽です。
読了日:2016年11月10日 著者:東野圭吾