ガリレオの苦悩 (文春文庫)
本書において、最も興味深かった作品は『操縦る』でした。
全ては奈美恵の幸せを確保するために、幸正自らが不実を働く息子を殺めて、財産を譲るための障害を取り除きます。同時に介護生活からも解放させ、さらには、罪をより重くするために情状酌量を望まず、刑務所で死することまで決意します。
何とも救われようのない悲しい結末だけが残るところでした。しかし、幸正の真の苦悩を暴き、湯川が語った言葉(自分達を信用しろ。責任は僕たちがとる。)によって報われた思いです。
人の心も科学であり、とてつもなく奥深いという一言に頷けます。
読了日:2016年12月17日 著者:東野圭吾