danyromero’s diary

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魔術はささやく (新潮文庫)

本物語では様々な人物の苦しみが表現されています。公金を横領した父親の蒸発により心に深い傷を負った守。守の父親をひき殺しながら生涯隠ぺいし続ける決意をした吉武浩一。

とりわけ、この二人の苦悩は計り知れません。菅野洋子の交通事故死というプロセスを経て真実を知ってしまった守。老人の計らいにより、裁きの権限が守に与えられます。

しかし、守は吉武を捌くまでは至りませんでした。顕在意識では許せずとも、潜在意識の中においては、自身と母親が愛されていたことに気付き、その結果、吉武を理解し、哀れむことができたのだと思います。

魔術はささやく (新潮文庫)

魔術はささやく (新潮文庫)

 

読了日:2017年6月20日 著者:宮部みゆき

 

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