danyromero’s diary

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壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

十数年ぶりの再読です。今回は息子の嘉一朗が本当に不憫に感じてなりませんでした。

貫一郎が犯した脱藩の罪をおのが罪として生き、その罪を償う事だけを考え続け、義のため戦場へと馳せ参じます。しかし、嘉一朗が今まさに果てんとする瞬間の回想シーンで戦場に向かった真の理由が明らかになります。

戦場にいるのは何の理屈でもない、大好きだった貫一郎をひとりぼっちで三途の川を渡すわけには行かない、ともに渡りたい、それが本懐であったという点です。

嘉一朗もまた誰よりもやさしくて強いという男の値打ちを持った武士だったと感じた次第です。

壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

壬生義士伝 下 (文春文庫 あ 39-3)

 

読了日:2017年10月19日 著者:浅田次郎

 

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