容疑者Xの献身 (文春文庫)
思い込みによる盲点をついた石神のトリックに心底、唸らされました。事前に「幾何の問題に見せかけて、じつは関数の問題である」と語っており、ヒントが開示されていますが、想像外、見事な落し込みというしかありません。
靖子と深い関りもない石神がそこまでして、身代りになる事なんてあり得るのか?
私はありだと思います。「人は時に健気に生きているだけで誰かを救っていることがある」この言葉に頷けます。
自ら退路を断った石神ですが、靖子は真人間として真実を告白します。石神の心に去来するのは、無念の思いだけなのか?私には解りません。
読了日:2016年10月28日 著者:東野圭吾