danyromero’s diary

小説のレビューおよび、時々お酒のウンチクもアップしています。

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)

15年以上ぶりの再読です。本書には、涙なしでは読めない作品ばかりが収録されています。 最も印象的な作品は当時と同様、『ラブ・レター』でした。大の男の吾郎が、こどものように泣きじゃくる心境が私には分かります。 私自身、過去に祖父を亡くした際、…

時生 (講談社文庫)

前作でタイムスリップものの良作を読んでいたことから、それほど期待を持たずに本書を読み始めました。 ところが、花やしきのシーンから始まる怒涛の疾走感などから、非常に読ませる作品であると感じました。 何を仕出かすか分からない拓実の言動には、未来…

地下鉄に乗って (講談社文庫)

本書は戦中・戦後を舞台に、時代の荒波に揉まれて変貌するアムールの生き抜く強さや、お時の人間的強さが絶妙に描かれています。 こうした絶妙な描写は、浅田氏自身がその時代に寄り添い、身を置くようにして考え抜いているからこそ、描くことができるのだと…

三人の悪党―きんぴか〈1〉 (光文社文庫)

約20年振りの再読です。今でこそ、平成の泣かせ屋の異名をとる浅田氏ですが、当時はそんな異名もなく、『地下鉄に乗って』も『鉄道屋』も『壬生義士伝』もまだ生まれていません。 しかし、浅田氏には当時から抜きん出ているものがありました。それは、どの…