danyromero’s diary

小説のレビューおよび、時々お酒のウンチクもアップしています。

2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

天使はモップを持って (文春文庫)

本書における怪現象の真相は、女性心理の奥深くに潜む、心の捻じれに端を発したものでした。 男の私には、仕事社会において、女性が感じている葛藤や苦労、そして、忍耐を強いられていることを理解できていないことに気づかされました。 そんな女性心理の負…

演じられた白い夜 (実業之日本社文庫)

近藤さんの作品は、これまで『サクリファイス』シリーズ等、15作品を読みましたが、何れも巧みな文章表現や奥深さが感じられ、唸らされ続けてきました。 ところが、本書に関しては、幾ら読み進めても心に響かず、何を主張したかったのか、最後まで分からず…

薔薇を拒む (講談社文庫)

本書は結末に至るまでの過程が凄く楽しめた作品でした。 孤児であり、過去に傷を持つ二人の少年(鈴木博人と樋野薫)が人里離れた山奥で、屋敷の使用人として生活する設定は非現実的な世界であり、その静けさや、異質な空間が想像できるところに興味を掻き立…

ふたつめの月 (文春文庫)

本書で最も印象的だった作品は第一話の『たったひとつの後悔』です。 話の内容云々よりも、その落とし方が興味深かったです。 上司の木村に対して発した一言(「木村さんのようになりたい」)は確かに伏線になっており、最後、そこへと繋げていった一種独特…