danyromero’s diary

小説のレビューおよび、時々お酒のウンチクもアップしています。

2014-01-01から1年間の記事一覧

動機

本書で特に印象的だった作品は『逆転の夏』です。 完全犯罪を依頼する強請男は誰なのか?伏線として「この男を殺してください」のフレーズが一度、「あの男を殺してください!」のフレーズが二度出てきていましたが、強請男が殺された女子高生の父親だったと…

陰の季節

改めて横山さんの作品の凄さに感嘆しました。 それを特に感じさせたのが最終話の『鞄』です。 本作品の結末は、県警職員たった二人の個人的な問題の話でしかありません。いかにもスケールの小さな話です。それでも十分に楽しめ、満足してしまうのだから不思…

臨場

これまで私が読んだ横山さんの作品の中では、珍しく読後感が心地よく感じられた一冊でした。 組織に媚びず、気骨と男気溢れる倉石の存在がそのように感じさせたのかも知れません。 本作品で特によかった章は『贐』です。小松崎親子の過去はとても暗く、悲壮…

真相

本書は短編集であることから、さくさく読んで次の作品に移ろうと気楽な気持ちで読み始めましたが、その考えは大きな誤りでした。 「真相」、「18番ホール」など半端無い程の緊迫感、臨場感があり、読むスピードはいつになく速まり、頁を捲る手は止まらず、結…

影踏み

本書は横山さんの作品にしては物語の展開や構成が粗い印象を受けました。 しかし、ノビカベのように、無口で常に研ぎ澄まされ、哀愁を帯びたキャラクター設定は個人的にかなり好みでした。 このノビカベですが、冷酷無比なだけでなく、『使徒』では盗人仲間…

深追い

本書の「締め出し」で、主人公の三田村が過去を葬り去る儀式を遂行しようとするシーンに共感しました。 不良に脅かされた苦々しい屈辱の過去を持つ三田村にとって、この儀式を遂行することは、大変意義があることだと思います。 私自身、過去に苦い出来事が…

半落ち

各章いずれも力が籠っており、また、臨場感に溢れているため、最後まで目が離せませんでした。最終章の残り20頁を切っても、空白の2日間の真実が見えてこず、必死に考えましたが、全く予想だにしない結末でした。 本書で横山作品3作目(出口のない海、ク…

クライマーズ・ハイ

非常に読み応えがありました。文章に一切遊びがなく、全ての描写に鬼気迫るものが感じられ、まさに迫真の作品でした。 主人公である悠木の優柔不断さには、何度もじれったさを感じました。しかし、最後の最後に、「俺は新聞を作りたいんだ。新聞紙を作るのは…

出口のない海

初の横山秀夫作品でしたが、完全に引き込まれました。 まず、本作品の舞台が生きたくても生きたい等と言うことが許されない、抗うことができない戦争が舞台であり、その中で、特攻兵器に搭乗しなければならない並木が、必死に生き、必死に考え、死ぬ覚悟を決…

銀翼のイカロス

半沢シリーズ4作目ですが、今回の半沢には貫禄さえ感じられ、シリーズ初期の頃にあった弱さや危うさが無くなってしまいったせいか、以前ほどの引き込みや感情移入はそれほどできませんでした。 しかしながら、随所に見せる半沢の男気ある決断(債権放棄の拒…

『銀翼のイカロス』読了

本日、『銀翼のイカロス』を読了しました! 半沢直樹の「倍返し」は炸裂したのか!? 後日、レビューをアップします。 さて、明日からは横山秀夫さんの『出口のない海』を読んでみたいと思います。 初横山作品であり、どれだけ引き込ませてくれるのか、非常…

夢のカルテ

第一章を読み始めたときには、心温まる恋愛小説なのかと思いましたが、クライエントの夢の内容はほとんどが殺人事件であり、また、夢の中だけに、感情や苦悩が剥き出しになっているため、サスペンス性を強く感じることができました。 また、本作品は短編集で…

『夢のカルテ』読了

昨日、高野和明さんの『夢のカルテ』を読了しました! 後日、レビューアップします。 これで、高野和明さんの作品は全て読破しました。 このあとは、池井戸潤さんの"半沢直樹シリーズ"最新作、『銀翼のイカロス』に突入したいと思います。 半沢直樹の専売特…

ジェノサイド

圧倒的なスケールであり、超大作だと感じました。 アメリカの情報機関やCIA、ゲノム創薬などの難しい題材を取り入れているにも関わらず、非常に丁寧に描写されているため、常に興味を持って深く入り込んでいくことができます。 虐殺のシーンでは残酷で忘…

民王

まさかのコメディ満載の内容に意表を突かれました。 それにしても、池井戸さんがこれほど人を笑わせてくれる作品を世に出してくれるとは思いもよりませんでした。特に、第二章の『親子漫才』における答弁で、漢字がまともに読めないシーンは最高に面白かった…

お知らせ

ボクシングのブログも開設しました! ボクシングに興味がある方は、是非、のぞいてみてください。 <a href="http://blog.livedoor.jp/danyromero/" data-mce-href="http://blog.livedoor.jp/danyromero/"&am…

6時間後に君は死ぬ

本作ではタイトルの『6時間後に君は死ぬ』と『3時間後に僕は死ぬ』の2作が非常に面白かったです。 圭司には、死に到達するまでに幾つかのビジョンが見えます。このビジョンのうちの一つでも変えられれば、未来は変えられると信じ、あらゆる策を講じていき…

『6時間後に君は死ぬ』読了

今日、高野和明さんの『6時間後に君は死ぬ』を読了しました! 後日、レビューアップします。 明日から超大作『ジェノサイド』だ!!

8月の読書

2014年8月の読書メーター読んだ本の数:4冊読んだページ数:1917ページナイス数:112ナイス幽霊人命救助隊 (文春文庫)の感想様々な自殺願望を持つ人達の心情が吐露されているため、非常に重たいテーマですが、自殺願望者を救助すべく四人の同士のやりとりが…

株価暴落

二週間前に本作品を読み終わりましたが、本日、いざレビューを書こうとすると以外なほど印象に残っていないことに気づきました。主人公である坂東のキャラに強い個性などが感じられず、感情移入ができなかったことが原因かも知れません。また、二戸との対決…

銀行仕置人

主人公の黒部は、過去の池井戸作品の銀行ものの主人公である半沢、伊木、指宿等に負けず劣らず、正義感が強く、飾らず、己を貫く男であり、そのような男が大好きな私は本作品でも感情移入されました。最終話の"断罪"での立花に懐柔されそうなシーンにおいて…

金融探偵

シリアスさや、個々の登場人物の心情の奥深くまで踏み込んだ描写はそれほど無いものの、主人公が本職ではない探偵業の中で、思考錯誤しながら問題を解決していく様は興味を引き、軽快でさらっと読め、ただ単純に楽しく読むことができました。これまでの池井…

シャイロックの子供たち

第一話の内容から本物語の主役は古川で進行していくのかと思いきや、あっさりフェードアウトしてしまい、第二話~第四話では各所員の身上話で構成され、本物語の主役や方向性がよく分かりませんでしたが、第五話で西木が行方不明になって以降、徐々に物語の…

最終退行

第6章の出向辞令で蓮沼が胸の内で語った言葉『自分に嘘をつきたくない。だましだまし定年まで過ごすサラリーマン生活などもうごめんだ。俺は自分に正直に生きる。今まで、出世の事や家族のことを考え、本音もいえず、意に染まぬ仕事を続けてきた。だがそんな…

銀行狐

『不祥事』、『銀行総務特命』に続いて本作を読みました。本作は前2作のように、強烈な個性を持った主人公(花咲舞、指宿)が固定されていないため、主人公に感情移入して読み進めていく私としては、少々物足りなさを感じました。しかし、収録されている5…

MIST

第4章の「肝だめし」が終わる頃には引き込まれ、最後、いつもの池井戸作品のように、怒涛の引き込みが待っているものと期待していましたが、第5章の「霧の記憶」から何か展開がずれていくような感じがし、深く入り込むことができませんでした。リストの謎解…

仇敵

前職では組織の力に屈し、辞職を余儀なくされた恋窪。その恋窪が過去と決別し、庶務工員として人間らしい生き方を築き、歩んでいこうとします。しかし、過去は恋窪を容易に解放せず、また、ライバルであった桜井の死によって、再び、恋窪のプライドと戦う気…

BT’63

池井戸作品の代表作である「半沢直樹シリーズ」、「下町ロケット」等を読んできましたが、本「BT'63」が私が読んだ池井戸作品の中で一番面白く、一番よかったと思った作品でした。口下手で決して器用な生き方ができない史郎ですが、強い正義感と忍耐力を併…

果つる底なき

池井戸潤さんのデビュー作にして江戸川乱歩賞受賞作であり、予想通り面白かったです。冒頭の坂本の一言「これは貸しだからな」が頭から離れず、どんな展開が待っているのかと、のっけから期待感が膨らみました。本書は銀行の腐敗を内部から描いたミステリー…

銀行総務特命

『不祥事』を読み終わった際、『銀行総務特命』も期待して読んでみたい旨のコメントを書きましたが、本作はミステリー感やシリアスさもあり、とても面白く期待以上の作品でした。何かと目の敵にされている総務特命の指宿。"第6話の特命対特命"では、人事部の…