序章の岩手の方言のやりとりでは『壬生義士伝』を思い出し、第一章の鬼熊と片岡と菊池の3人のキャラ設定では『きんぴか』を、そして、第二章の岸上等兵の語り口からは『天切り松闇語り』を思い出されます。
何れの作品とも大好きな私にとってたまらない設定です。
久子が弟の言おうとしたことが分かりながら不幸な母親のために泣くことはできなかったシーン、老婆を思いやった鬼熊が不意に気付いた世の中は嘘っぱちでもおふくろだけは本物だと悟ったシーンなど目頭が熱くなるシーンが随所に見られます。
兵士達が無事に帰還することを切に願います。
読了日:2019年1月30日 著者:浅田次郎