danyromero’s diary

小説のレビューおよび、時々お酒のウンチクもアップしています。

2015-01-01から1年間の記事一覧

初陣―隠蔽捜査〈3.5〉

本作品の主人公は竜崎の同期である伊丹でしたが、なかなかに面白い作品でした。 伊丹には竜崎のような原理原則を貫ける図太い感性は持ち合わせていません。 弱さとコンプレックスの狭間で自分なりの処世術を身に付け、キャリアとして懸命に生き抜こうとする…

疑心: 隠蔽捜査3

本作では、まさかの恋心から竜崎の判断が鈍り、あわや大失態を犯すのではと随分と冷や冷やさせられました。 なお、この恋心に捉われる様が後半まで続いたのは少々引っ張りすぎではと感じました。そのため、"婆子焼庵"のくだりからテロリストの逮捕まで、一気…

果断―隠蔽捜査〈2〉

一作目ですっかり竜崎のファンになってしまった私ですが、左遷させられた竜崎が本作においても自分らしさを貫き通せるのか、気になっていました。 事件発生に伴い、格上連中から掛けられるプレッシャーや、妻が緊急入院した事態から、弱気になり掛けた場面も…

隠蔽捜査

今野敏さんの作品を初めて読みました。この作品はシリーズものになっているみたいですね。 本書では主人公の竜崎の人となりが丁寧に描写され、そして、幼馴染である伊丹との関わりを中心とした構成となっており、事件に関わるスリリングさや犯人の心理に迫っ…

第三の時効

本書が横山作品のラスト作品となりましたが、ラストを飾るに相応しい、非常にレベルの高い作品だったと感じました。 6つの短編ともに読み手の先入観などを利用し、衝撃の結末に結び付けられる様は圧巻であり、見事の一言です。 また、強行犯捜査の3人の班…

震度0

冒頭で椎野が真っ赤なスカートをはいた少女の夢と阪神大震災とが引き合いに出され、どんな展開が待ち受けているのかと否が応にも期待が高まりました。 しかし、震災と事件との関係性は薄く、若干、拍子抜けした感は否めませんでした。 ただし、不破の疾走に…

看守眼

本書では表題の『看守眼』が心に残りました。 29年の歳月を留置管理係として過ごしてきた近藤の内に秘めた情熱、経験で培った確かな観察眼、その観察眼をもって、人を殺めた人間とそうでない人間との違いを見極めるシーンは、理屈では測れない説得力と迫力を…

ルパンの消息

本書は『64』を読了後すぐに読み始めた為、当初は爽快感だけを感じていましたが、心を闇に閉ざした人々の気持ちが開示されていく様を読むにつれ、心理の奥底までもが表現された凄い作品だと感じました。 本書のクライマックスは内海の逮捕ではなく、幸子の心…

64(ロクヨン)

本書で気になった点は幾つかあります。 近くの親類宅までの間に少女がどのように誘拐されたのか?誘拐犯との接点や関連性が希薄すぎないか?誘拐犯が半分食べてしまった手紙には本当のところ何が書かれていたのか? それにも拘わらず、濃密な充足感を感じま…

顔 FACE

本書では、『心の銃口』が最もインパクトのある作品でした。 冒頭に警察マニアの心情描写が描かれ、ここで、その人物のことが頭にインプットされます。 その後、同僚で拳銃射撃競技の女子の部で優勝の南田安奈が襲われ、拳銃を奪われたことから、当然、犯人…