サクリファイス (新潮文庫)
本書は自転車ロードレースという日本ではあまり馴染がない競技を取り入れていますが、文章に無駄な描写がないためよく分かります。
また、石尾の死後、白石が死の真相を辿っていく経緯は実に読み応えがあります。
真相に辿りついたと思いきや、新たな疑問が見え始め、二転・三転の末に真の真相に辿りつくという手法に惹き付けられます。
なお、石尾は自身の考え等を一言も語らずに亡くなっているため、本当の死の真相は謎です。
その謎を残しているため、なお読み手側を考えさせ様々な憶測ができるところに、この作品の奥深さがあると思います。
読了日:2015年8月30日 著者:近藤史恵