近藤史恵さんはつくづく読ませ上手な作家さんだと思います。
ロードレースに臨む前の心情描写や勝負所の描写を端的で明確に表現し結果を次々に開示していく様は読みやすく記憶に残ります。
本作の主たるポイントは薬物疑惑にあったと考えます。
未来のエースと目されるニコラは薬物を使用していたのか?そんな疑惑に駆られてしまう描写がとことん気を惹きます。
真の勝者とは、薬物に依存することなくどんな困難も強靭な精神力で乗り越える者であると考えます。
薬物を使用していなかったニコラへの挑戦を胸に期した白石の今後の飛躍に期待が高まります。
読了日:2015年9月4日 著者:近藤史恵