danyromero’s diary

小説のレビューおよび、時々お酒のウンチクもアップしています。

2016-01-01から1年間の記事一覧

宿命 (講談社文庫)

第六章の「決着」において、本事件の殺人犯が瓜生派の最後の生き残りである松村であったことが判明したときは、何かインパクトに欠け、物足りなさを感じずにはいられませんでした。 ところが、本書には、とびっきりのサプライズが用意されていました。 第七…

変身 (講談社文庫)

本書において、作者が伝えたかったのは、先端医療技術に対する警告なのか、或いは、生きるということはどういうことなのかを問うているのか、その意図は、はっきり分かりませんでした。 ただ、私が1つだけ確信したことは、人は仮に脳や心を破壊するような強…

分身 (集英社文庫)

鞠子の章、双葉の章ともに中身が濃く、それぞれの章を抜き出して2作品にしてみても、作品として十分成り立つと思わせるほど力強さが感じられました。 本書において、2人の母親の死の真相等、興味深い点は幾つもありました。 しかし、何よりも興味を掻き立…

下町ロケット2 ガウディ計画

第1章では、不平不満を平気で言動に出す平社員がいたり、或いは、特許を取得するのは我々だと平然と言い放つクライアントがいたりと、実社会でこんな事柄は滅多にお目にかかれないだろうと思わず突っ込みたくなりました。 ところが、第2章以降、そんな突っ…

モップの精と二匹のアルマジロ (実業之日本社文庫)

キリコシリーズの中でも、本書が最もレベルが高い作品だと感じました。 越野友也の謎の行動の真相は何であるのか。途中、二重結婚詐欺などの予測もしましたが、想定外で、ある意味、衝撃的な結末に満足感を得ました。 なお、近藤さんの長編小説は本書を含め…

モップの魔女は呪文を知ってる (実業之日本社文庫)

キリコシリーズ3作目である本書は、落し込みに対する拘りだったり、捻りが加えられており、前2作よりも力強さを感じる作品でした。 特に『第二病棟の魔女』において、雪美ちゃんの母親がMBPであると考えて間違いないと思わせておきながら、一気・怒涛の…

モップの精は深夜に現れる (文春文庫)

キリコシリーズ2作目の本書は、1作目よりも表現力の巧みさが向上し、また、考えさせる要素が増えており、より興味を惹かれる作品となっていました。 しかしながら、近藤史恵さんの作品といえば、超良作である『サクリファイス』があるため、どうしても出来…