これほどまでに、じれったくて、歯がゆくて、なんとも言えず、早く読み進めてすっきりしたいと思ってしまう作品は初めてでした。
居候状態となった水絵には過去に盗みの常習などがあったことから、水絵には居候以外の目的もあるのか、そして、鈴音の好意に付け込んで何か陥れようとしているのか、それとも、現在は改心して何事もなく無事に家を出て行ってくれるのか、さまざまな疑心暗鬼に囚われました。
水絵が鈴音に対してだけは盗みを働かなかったのは、水絵が過去に鈴音に抱いた好感に基づき、決して侵してはならない領域であったのだと思います。
読了日:2015年9月30日 著者:近藤史恵