東野氏の作品から共通して感じるのは、クライマックスに至る場面において、無駄な表現が無く端的であるということです。
また、一気にフェードアウトしていく様は実に絶妙です。本書においても、直子の別れの言葉は「ありがとう。さようなら。忘れないでね。」だけですが、これ以上ない表現です。
そして、真の秘密が明らかになり、平介が泣きじゃくって終わってしまうラストは、置いてけぼりされた気分になり、こんな切ない状況のままで終わらせないでくれ!と思ってしまうほどです。
東野氏の端的な表現と最後に読者の心を鷲掴みする力量に脱帽です。
読了日:2016年5月11日 著者:東野圭吾