幼い子を持つ親や、閉じこもりの子を持つ親、或いは、認知症の家族を抱える者などにとっては、本書は決して他人事として読むことができない作品であると感じました。
本事件において、昭夫を真人間として踏みとどまらせた加賀の行為は温かみに満ちていました。
昭夫が子どものとき、若くて元気だった頃の母に手を繋がれていた写真、お世話になった人への贈り物として母へプレゼントした手彫りの名札、それらをあのような場面で見せつけられたなら、心の防波堤は崩壊するというものです。
本書を読み終えたとき、何かしんみりとした気持ちになりました。
読了日:2016年9月1日 著者: 東野圭吾